デルフィ



ペロポネソス半島の北端のパトラの町の港、リオから対岸へ渡り、デルフィへ向かう。

バスの中から建設中の橋が見えてくる。 フェリーから吐き出される車 乗船して さっきの 橋を見る。
青い空、海、白い橋に 紅一点の男性 無邪気な女の子達と引率の先生
この中にヘレンがいる。
始めのうちは恥ずかしがっていたけれど・・・
フェリーに乗ると、バスの中から見た橋が大きく見えてくる。八月のオリンピックに向けて建設中だそうだが、まだ中央部分がくっついていない。オリンピックに間に合うだろうか?とささやかれているそうな。工事を請け負っているのはフランスで、建設費もすべてフランスが持つ。但し、橋の通行料は今後30年間フランスの懐に入るのだそうな。
手すりにもたれているメガネの女の子に写真をとらせてもらったら、いつのまにか大勢寄ってきて、私は質問攻めにあってしまった。どうも、遠足か社会見学のようなものらしい。彼女の英語は当然ながらペラペラ。(私はカタコト)。 一言ごとに、「きゃーっ」、「わーっ! 箸が転んでも可笑しい年頃と言うのは何処にもいるものです。 
 他愛のない短いお喋りのあと、私は一人一人の名前を聞いてみた。やっと6,7人目で私の期待していた名前が聞ける。
 『ヘレン』。ああ、いたいた!『トロイのヘレン!』。 私は満足。最後にみんなの写真を撮らせて、と言ったら、またもや、「きゃーっ」。
シャッターを押そうとしたら後ろから、私も、といきなり入ってきた女性がいて吃驚。どうやら引率の先生らしい。後ろで様子をみていたのかな?この先生、シャツとパンツの間からおなかがのぞいている。日本にいるかな、おなかを出している先生・・・。
バスはフェリーを降りてデルフィーへ向う。時には海を臨み、時には険しい崖、美しい平野、道幅の狭い町の中を。変化のある道程は飽きることを知らない。
           
通り過ぎるバスを じっと 見つめる男性 違反もしてないのに バスを止めて調べる ポリス 空 は 青い
五月なのに日本の紅葉を思わせる 
忘れられない色。私を吃驚させた色!
切り立つ崖青い空、白い雲 海 が 見える
 デルフィはアテネの西約160km、パルナッソス山の南に広がる小さな町。
有名なアポロンの神託が行われた聖域で、当時のスケールの大きな遺跡が残っている。
デルフィのメイン通りショップ ディオニュソス ギリシア文字の看板アルファベットにすると、
PYTHO.デルポイの古名ピュートー
だそうである。
神殿の入り口近く無造作に置かれている像
勿体無い
神殿への道
壊れた神殿の一部や礎石などが置かれている
オンファロス (大地のへそ)
何だかここのフンイキに似つかわしくないと
思える存在に見えて仕方がない
アテネ人 の 宝庫
フランス考古学会によって再建された)

 アポロンの神託
 
デルポイ(デルフィの古名。ドルフィン、イルカの語源でもある)にはかってピュートーンと呼ばれる大蛇に守られた大地母神のガイアが託宣を行っていましたが、アポロンがそのピュートーンを退治し、そこを自分の神域にしました。
 アポロンは文芸、医療の神でしたが同時に予言の神でもありました。神殿内の一室で巫女が椅子に腰をかけ、月桂樹の葉を噛み、その葉をふすべた煙を吸いながら神懸り状態になってお告げを言うと神官がそれを書きとめて信者に渡します。 (この巫女はピューティーと呼ばれ、4年、または8年ごとに行われた大祭はピューティア祭と呼ばれました。)
  BC6世紀になり、神託の名声が拡がるに及んで、世界各地から人々が捧げものをもって訪れる巡礼の地となり、デルフィに富と繁栄を齎します。(アテネ人の宝庫はそれらを収めたところ)
 国政を左右するような事から、庶民の悩み事まで神託を求める人があとを絶たなかったといいますが、国家の大事までお告げに頼るとは現代では一寸考えられないことですね。

ルフィの変遷
 
繁栄を誇ったデルフィも、1世紀に、ローマ皇帝ネロがデルフィに参詣したいと申し出たのを毅然とした態度で断り、怒ったネロが500にも及ぶ像を略奪したり、また、392年にはテオドシウス帝の異教徒禁止令によって破壊されたりして次第に衰退し、その上、地震などの天災で、長い間、地中に埋もれていました。
 やがて時移り、1892年、フランス考古学会によって発掘されると、遺跡の上に建てられていた家々は、現在の場所へ移転されました。山麓の傾斜地にあるデルフィの町は、ウナギの寝床のように細長く、所々階段状の道でつながっています。そこも歩いたら、いろいろ面白い発見がありそうです。

オンバロス(大地のへそ)
 ギリシア神話の主神ゼウスが世界の東西の端から鷲を放ち、その二羽の鷲が出会ったところを世界の中心と定めたと言われる。
 そこにオンバロスと呼ばれる石画おいてある。本物はデルフィ博物館にあるが、それもオリジナルではないようです。



トロスが見える
アテナの聖域といわれる


神殿。最初は前6世紀に建てられたたが
現存するのは前370年に建てられた


円形劇場.
前5世紀にたてられ現在も夏季に公演される
トロスに出会う太古の世界に戻ったような錯覚に襲われるしじま。どういう所にトロスが位置しているか全然予備知識なしで来た私は予想外の在りようにしばらく眼下の風景にじっと見入っていた。うん、ナルホド、こういう所だったんだ! 観ているうちに、こここそ、あのトロスに最もふさわしい場所のような気がだんだんしてくる。 伝令神ヘルメスが天翔け、ムーサイが三々五々語らっていても、何のフシギはないような空間・・・。しばらくは立ち去りがたい気持ち・・・。 せめてもうしばらくは、ここに佇んでいたいのに、知らぬげにガイドの声が私を急かせる。
 
ギリシア文字が見えたので、もしや?と思ったけれど矢張りあの箴言ではなかった。単なる落書き?
七賢人によって神殿の入り口に書かれたという箴言。
汝自身を知れ
何事も度を過ごすな
保証はやがて身の破滅
美しい円形神殿、トロス (1939年に復元)
隣町、アラホバ
丘の上には 教会が

 スケヂュールに入っていないので、トロスへは行かないとガイドが言う。えーっ、すぐそこに見えるのに!
余程私ががっかりした表情をしたらしく、じゃあ、急いで行ってきてください、と言ってトロスの上でバスを停めてくれた。息を切らして走り降りる。
耳元で、「大画像で撮ってきてください」と言う声が不意に聞こえた。慌ててカメラをセットしなおす。 
ああ、よかった、忘れなかった!
オンファロス 御者 の 像 御者の像の横顔 (絵はがきから)
デルフィ博物館の中には数多くの展示品があり、どれも見ごたえのあるものばかり。
「御者の像」は、正面から見るといきなりはっきりした目がこちらに向って飛び込んでくる。手にもつのは馬の手綱。当時の像は、目はガラスで作られていたのが、この像は白目の部分は象牙で作られている。
瞳もマツゲも、何で造られたか、聞いた時は、ほうっ!と、びっくりしたのに、今は忘れてしまって思い出せない!
聖域の全景 (エハガキより) 入場券
メテオラ