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神 島 |
神島は、三重県鳥羽市に属しているが、愛知県渥美半島の伊良湖に面し、はるかに愛知県の方が近い。島の周囲はほぼ、4キロの小さな島。島の東斜面には日本で二番目に古い、神島灯台がある。
海からすぐ後ろに迫る斜面にへばりつくように家々が立ち並ぶ。急な斜面は狭い石段で埋め尽くされ歩いて上り下りするより方法がない。漁業以外には耕地もなく、自給自足もママならないようだ。生活用品はすべて船で外から運ぶより仕方がない。若者は島を出て行き、子供の数も少なく、過疎の島と言える。
この小さな島が一躍有名になったのは、三島由紀夫著『潮騒』によって・・・。 吉永小百合、山口百江の主演で二度映画化もされている。
『潮騒』によって一躍有名になった当時は、さぞこの島を訪れる人が多かった事でしょう。私の知人は三島文学に傾倒し、この島を学生時代に訪れたのだそうな。今回の私の写真を見て、当時の俤がすっかり失せたと嘆いたけれど、私にとってははじめてみるこの島の様子は、後に出会うハプニングもあって、唯々興味深く、楽しくも驚きに満ちたものでした。 |
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10時。伊良湖港から20人乗りの高速船で神島に向う
客は、殆ど釣り人か、地元の人。私たちは異色の乗客だった |
防波堤の太公望(伊良湖) |
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港から島の前景を見る |
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防波堤には小学生の描いた絵。 イカ、タコ、エビetc. |
釣り客が続々と降りる。 |
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海岸端に立ち並ぶ、作業テント |
島でおひるをとる店は?と、船長さんに尋ねたら教えてくれたのがこの家。けれど呼べど叫べど、ダーレも出て来ない。
やっと探し当てたご主人は、「今日は神社の石洗いの日やけん、1時ごろやないと女房は帰って来んけん。その頃来てくれりゃあ、支度しとくけん・・。」
私たちは先に島を一周する事にした。周囲4キロ、1時間半もあれば回れるじゃろう、とその人は言った。私たちの足で大丈夫でしょうか?ときいてみた。つくづく私たちを見ながら一瞬、返事を躊躇った! トシの頃を心の中で推し量っていたみたい・・・。
その人は言った。「ハイヒールじゃなきゃよかろう。」 ・・・ハイヒールなんてとっくの昔に卒業してますよ! |
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石洗いって何だろう? この島の中心とも言える八代神社は伊勢神宮と同じように、20年に一度遷宮が行われる。丁度今年がそれにあたり、社殿がすっかり新しく造営された。その祭事の日が近いので、今日は島の人が一軒に一人ずつ出て神社の掃除や周りの整備をしている。境内は水を流して大掃除。
下の女性もざぶざぶ水を流して石段を丁寧に洗っている。
それにしても大昔から行われるこの遷宮と言う儀式。建築のための材木は船で鳥羽から運んだとか。聡檜じゃよ!と島人は誇らしげに語ったけれど、さぞ、難工事だったと思う。神島という島の名も何か由来がありそうな。伊勢神宮にも関係があるのかな?と想像をめぐらす。
以前は↑の泉が唯一つの島の水源であったらしい。今は紀伊半島の奥から海底送水管を通して水が送られて来る。この泉が唯一つの島の水源であろう。ここから天秤棒で担いであの石段を上り下りして家に水を運んだのかしら。『潮騒』が書かれた頃はまだ水道は引かれていなかった。今は土で埋まっていいる。 |
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家々の、軒と軒が触れ合わんばかりの 細い路地 |
後ろからごめんなさい |
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そろそろ石洗いも終わりに近付き、あと片づけらしい |
境内の様子を上の山道から見る |
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かなり激しい起伏の島巡りの途中、一輪の花にほっとする |
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神 島 灯 台 |
このカップルとは、後になり、先になり |
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監 的 哨 |
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『潮騒』 のクライマックスシーンは、ここで・・ |
初江と新治の時代とは違う二人連れ
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私が監的哨の屋上で海の写真を撮っている間に、友達は近くの狭い空き地でなにやら一生懸命見ている。
そこでは来る道々お見かけしたご夫婦が、大きな白いをタモを横に置いて、中の蝶一頭づつ熱心に調べておいでだ。下の画像でおわかりでしょうか。 カミシマと羽にかき、見え難いけれど、10/16,の日付とかが書き込んである。雌雄まで見分けてノートに記録。
アサギマダラ という蝶。この時期、群馬あたりから飛来してカミシマを中継点に遠くは沖縄や台湾までも渡りをするそうだ。「そんなに飛んでハネが痛みませんか?」と私は訊いた。「鱗粉がないので痛みません」と言う見事な返事が返ってきた。
左手にタモを持ち、右手で白いハンカチを振ると蝶が集まって来るのだそうだ。
この蝶のドキュメンタリー放送を見たばかりの友達は私より詳しい。けど、まさかすグそのあとに、ここでその蝶に出会おうとは!!そういえば、伊良湖も、10月初旬はサシバの渡りで有名である。運がよければ鷹柱といって、たくさんの鷹の群れが上昇気流に乗って空高く舞い上がる光景が見られるそうだ。 |
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監的哨の屋上から |
アサギマダラ |
熱心に記録するご夫婦 |
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アサギマダラをたくさん見かける |
島の裏の カルスト台地 |
ここは 『ニワの浜』 の立て札があった |
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予約!をしておいた昼食は斯くの如し。
これ以外は、カレーライスしかありません。と言う楽しいセリフを聞いた。
私たちのあとからドヤドヤと来た10人ぐらいのお客を相手にオクサンはてんてこまい。予約がしてないないから・・・と不満そうだったのがオカシイ。
見かねた客の一人が台所を手伝っていた♪ |
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海岸に近いとおりの掲示板にあった、小学生の句。読んで思わずアハハ・・と声を出して笑ってしまった句もある。 |
ノンビリして来ましょ!と言って出かけた今回の伊良湖への旅であったけれど、神島へ渡ったことで予期せぬ面白さに出会って、短いけれど楽しい、満足、満足の旅となりました。 |