ミストラ


 ミストラの遺跡は美しいところでした。
 18世紀に戦乱で壊された城塞が静けさの中に残されている。山頂には砦が、中腹には教会が。今は廃墟となってあるだけなのにまるで石が呼吸をしているような、一つ一つが美術品のよう。

 一歩足を踏み入れた途端、

 夏草や つわものどもが ゆめのあと

の句が自然に脳裏に浮かんだ。
山頂には城砦 アギオス・ディミトリオス教会 アギオス・ニコラオス教会
 もともと13世紀に十字軍の要塞が築かれ、14,5世紀にかけてはビザンチン帝国の本拠地となり政治,文化の中心であったという。しかし15世紀以降は、オスマントルコやベネチアの支配を受け、18世紀、アルバニアの侵略で衰退の道をたどる。

 このあと、訪れたアテネのパルテノン神殿もオスマントルコやベネチアの攻撃で破壊されている。日本は周囲海に囲まれて、しかも長い間の鎖国で国が守られていたのかも知れないなあ・・・。もしも韓国や中国と陸続きだったら・・・。今とは全然違う日本、全然違う日本人だった事は確か。

 西ヨーロッパの建材を使って建てられたという教会は、色が非常に美しい。 「ビザンチンの廃墟」とも「オリエントのフィレンツェ」ともよばれるだけあって素晴らしい景勝と遺跡が相俟って、はるか昔の繁栄を思い浮かべるのにさして困難はない。
 この石の色は私の好きな色。イタリアのアッシジの優しいピンク色の石壁や、イギリスのコッツオルズのハチミツ色の壁とを頭の中で思い浮かべていた。
  

入場チケット
オリンピア